競り売りとは、古物商が複数の買い手に価格を競争させて取引を行う営業形態のことで、一般的にオークションと呼ばれているものです。
あまり知られていないかもしれませんが、古物商の許可を受けた者が、古物市場以外の場所で競り売りを行う場合は、その都度、公安委員会に届出をしなくてはならないことになっています。
今回は、競り売りの届出について確認していきましょう。
競り売りの届出
まずは、条文を確認します。
古物営業法10条1項
- 古物商は、古物市場主の経営する古物市場以外において競り売りをしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出なければならない。
なぜ届出が求められているのかというと、競り売りという営業形態が、短時間に多くの古物が取引される特殊な取引形態であるため、営業所で行う通常の取引と比べて、盗品等の処分の場として利用される可能性が高いためです。
「防犯」という古物営業法の目的のための規制といえるでしょう。
なお、届出は公安委員会に対してすることになりますが、競り売りが行われる日の3日前までに、競り売りの会場の所在を管轄する警察署を経由して行うこととされています。
古物営業法施行規則8条1項(要約)
- 公安委員会に届出をする場合においては、その場所の所轄警察署長を経由して、競り売りの日から3日前までに、競り売り届出書を提出しなければならない。
もし競り売りの届出義務に違反したり、虚偽の届出をすると、20万円以下の罰金に処されることになります。
ホームページを利用して競り売り(オークション)をする場合
古物商は、ホームページを利用して古物の競り売りをしようとする場合には、あらかじめそのホームページのURLと競り売りをしようとする期間および通信手段の種類を公安委員会に届け出なければならないこととされています。
古物営業法10条2項(要約)
- 古物商は、売却する古物に関する事項を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供し、その買受けの申込みを受けて競り売りをしようとする場合には、あらかじめ、当該古物に関する事項に係る自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号、競り売りをしようとする期間を公安委員会に届け出なければならない。
競り売りをしようとする期間
古物営業法では、競り売りをしようとする期間を届け出なくてはいけないことになっていますが、この期間については、6ヶ月を最長として届け出ることができるとされています。
もし、届け出た期間を経過した後も継続してホームページ上で競り売りを行う場合は、再度届出をする必要があります。
競り売りの届出には例外がある!?
例外として、古物商がネットオークションに出品して競り売りを行う場合には、競り売りの届出は必要ありません。
古物営業法10条3項(要約)
- 競り売りの届出は、古物競りあっせん業者が行うあっせんを受けて取引をしようとする場合には、適用しない。
つまり、古物競りあっせん業者が運営するネットオークションにおいて出品するだけの場合、届出をする必要はないということです。
例えば、ヤフオクで古物を出品して売却する場合には、一般の利用者と同様に届出は不要です。
なぜ例外が認められるかというと、そもそもネットオークションを運営する古物競りあっせん業者は、そのURLを届出なくてはならないことになっています。
したがって公安委員会は、出品をする古物商から重ねて届出を受けなくても、そのネットオークションで取り扱われている古物を把握することができ盗品等が紛れ込んでいないかどうかを確認することができるからです。
サイト運営者と出品者から二重に届出をする必要はないということです。
まとめ
いかがでしょうか?
通常の競り売りについては、あまり身近ではありませんから、古物商の方にとっても競り売りの届出は無縁なものかもしれません。
しかし、ネットオークションを運営しようとする方は今後も増加する傾向にありますので、その際の届出を忘れないようにしていただきたいと思います。