古物商許可の個人申請で注意しなければならない落とし穴「営業所の設置」

愛知古物商許可.comでは、これまで多くの個人申請による古物商許可申請を手掛けてきました。

古物商許可について定める古物営業法には「欠格事由」という条項があり、これに該当する者は許可を受けることができないという仕組みを取っています。

この欠格事由ですが、それほどハードルが高いものではなく普通の一般人であれば十分にクリアできるような内容になっています。


しかし、結果として許可の個人申請を断念しなければならないことがあります。実際に愛知古物商許可.comにおいても個人申請を断念したケースが何度かあります。

ではなぜ許可申請を断念せざるを得ないのでしょうか?

今回は、古物商許可の個人申請で注意しなければならない落とし穴についてご紹介したいと思います。

これが落とし穴の正体!個人申請では営業所が設置できない場合がある!?

古物商の営業所とは古物営業を行う場所のことで、分かりやすい例で言うとBOOKOFFなどの店舗がまさに営業所に該当するということになります。

個人申請においては便宜上、自宅を営業所に設定しようとする方がほとんどなんですが、ここで落とし穴に落ちてしまう方がおられます。

集合住宅の用途制限が落とし穴の正体である!

自宅が持ち家であれば問題なく営業所を設置することができるのですが、集合住宅の場合は要注意となります。

というのは、集合住宅は例えば賃貸アパートですと当然に賃貸契約を結んでいるわけで、その契約の中で用途として「住居専用」という条件が設定されていることがよくあります。

そうなると古物商という営業目的としての用途が大家さんや管理会社から拒否されることがあるのです。これこそが落とし穴の正体というわけです。

分譲住宅も例外ではない!?

賃貸物件なら契約を遵守しなければならないが、分譲住宅は自己所有だから大丈夫ではないか?と考える方もいらっしゃいますが、実は分譲住宅も例外ではありません。

分譲住宅であっても多くの世帯が住む集合住宅ですので、通常、管理組合などの管理規約といったルールがあり、ここでも営業目的での使用を拒否されることがありますので注意が必要です。

覚えておこう!ネット取引だけでも営業所に該当する!

例えば、あなたがヤフオクで中古品を仕入れ、これをメルカリで販売したとしたら商品だけが動き誰とも対面せずに取引することが可能です。(宅配業者は除く)

あなたは自宅でパソコンでやり取りするだけなんですが、これも営業所に該当することになりますので誤解のないようにしてください。

集合住宅の場合はどうすればよいのか?

では集合住宅にお住いの個人が古物商許可を受ける場合はどのようにしたらよいのでしょうか?解決法を考察したいと思います。

解決法その1 管理者の許可を得る

至極当たりまえのことなんですが、管理者の許可を受けることで自宅を営業所に設置し、問題なく許可申請をすることができます。管理者とは、大家さんとか管理会社、管理組合のことです。

契約や規約が住居専用となっていたとしても一度問い合わせをしてみてください。ひょっとしたら個別に承諾をくれる可能性も残っています。

契約や規約になぜ「居住専用」というルールを設けているのか考えてみてください。それは、集合住宅に不特定多数の人が出入りすることを嫌うからです。

しかし今の時代、営業方法によっては人が出入りしなくても取引をすることができます。このような場合は諦めずご自身の営業方法を説明して交渉をしてみてください。

解決法その2 営業所を確保する

本格的に古物営業をしようとしている方はあらかじめ営業所用の物件を確保してしまうという方法があります。しかし、当然家賃が発生しますのでかなり本気でないと難しいかもしれません。

また、副業程度に古物営業をしたい方にはお勧めはできない方法だと思います。

営業実態のない場所を営業所にすることはできない!

よくあるのが「自宅が無理なら実家を営業所にすればよいでは?」という話です。これは不可能ではありません。

しかし、実家を営業所とするなら実家で古物営業(仕入れ、販売、保管、梱包、発送など業務全般)をしなければなりません。

実態のない場所を営業所とするのは虚偽申請となりますのでくれぐれもご注意ください。

解決法その3 「営業所なし」の古物営業をする

正直なところ、これは実現できるかわかりませんのであらかじめご了承ください。

実は、古物商許可において営業所の設置は義務ではありません。実際に許可申請書の項目に営業所を設置するかしないか選択する部分もあります。


「営業所なし」の古物営業を選択することで集合住宅の用途制限を回避できる可能性があるという考えです。

ただ、これまで前例がなく、「営業所なし」の古物商許可は存在しないという考え方もあるため、実現できるかどうか分からないという状況です。

「営業所なし」の古物営業とはどんなものか?

これは以前窓口の担当者に聞いた話なんですが、営業所なしの古物営業とは、対面取引はせずアマゾンのFBAサービスのように自己で品物を所持(保管)しないような営業を指すとのことです。

ただ、窓口の担当者によって解釈が異なったりすることもありますので、もしチャレンジする場合は事前に警察本部に確認するなど慎重に手続きを進める必要があるでしょう。

最後にぶっちゃけます!管理者の承諾は義務ではない!?

最後に誤解のないようにとんでもないぶっちゃけをしたいと思います。

実は古物商許可の営業所の設置について管理者の承諾は法的義務ではありません。古物営業法にそのような定めはないのです。ですから、やろうと思えば管理者に無断で自宅を営業所として申請することができてしまうのです。

ただし、契約違反にあたる可能性があるため民事トラブルになる恐れがあります。このリスクを避けるため巷では「古物商の営業所には管理者の承諾が必要!」という論調になっているわけです。

ちなみに、都道府県によっては許可申請の際に営業所とする物件の使用権原を確認するため、賃貸契約書などの証拠書類を求める公安委員会もあるようなのでご注意ください。

なお、愛知古物商許可.comにおいても管理者の承諾が得られない場合は許可申請業務はお断りしておりますのであらかじめご了承くださいませ。