古物商が古物の買受けを行う際には、原則として取引相手の真偽を確かめるための本人確認をしなくてはなりません。
以前、このサイトでも本人確認の方法をご紹介しました。
なぜ古物営業を行うために許可が必要なのかというと、それは「防犯」と「被害の迅速な回復」のためです。もし盗まれたものが簡単に古物流通市場に流入してしまうと、これらの目的を達成することはできません。 そこで、古物営業法は古物 …
本人確認は防犯上とても重要ではありますが、一定の場合には本人確認の義務が免除されることがあります。
今回は、例外的に本人確認が免除される場合について解説していきます。
まず確認しよう!本人確認義務が必要となる場合について
まず、どんなときに本人確認義務が必要なのか再確認したいと思います。
相手の確認義務が生じる場合は次の3つの場合です。
- 古物を買い受ける場合
- 古物を交換する場合
- 古物の売却または交換の委託を受ける場合
この3つの場合です。まずこれを押さえておいてください。
ポイントは、古物を売却する場合は相手の確認義務自体が無いという点です。
古物の売却の委託とは?
とても紛らわしいんですが、古物の売却と古物の売却の委託は異なります。
古物の売却の委託とは、「依頼を受けて他人の古物を売る」ということです。例えば、古物をたくさん買い取っている古物商から依頼をうけ、古物を一時的に預かって販売し、売れたときに売上の一部を手数料として受け取るような営業のことです。
自己の古物を売却する場合は相手の確認は不要ですが、他人の古物を売却する場合は相手の確認が必要になるということです。
なお、古物の売却の委託を受ける者も古物商許可が必要となりますのでご注意ください。。
おそらくあなたは、中古品を仕入れて販売をすることを「古物営業」というのだと考えているのではないでしょうか? 確かにそれは間違いではなく、紛れもなく古物営業に該当します。 しかし、それだけが古物営業ということではないことを …
確認義務の例外
次の場合については、本人の確認義務が免除されます。
古物営業法15条2項(要約)
- 対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合
(特に本人確認をする必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。) - 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
一定金額未満の古物の取引において本人確認が免除されるのは、窃盗等の犯罪の被害状況や盗品等の古物商への流入実態等を勘案して、特に盗品等の流入を防止すべき必要性のある古物を除き、身分確認義務を免除することとされているからです。
少額の取引においては、犯罪のリスクや被害が小さいため、防犯よりも古物商の負担軽減や取引の効率化が重視されていると考えることができるでしょう。
国家公安委員会規則で定める金額 = 1万円
では、本人確認が免除される金額とはいくらのことなんでしょうか?
古物営業法施行規則では、次のように定めています。
古物営業法施行規則16条1項
- 国家公安委員会規則で定める金額は、1万円とする。
つまり、取引の対価の総額が1万円未満の場合は、原則として本人確認をする必要はないということになります。
1万円未満でも本人確認が免除されない古物の取引
1万円未満の取引であっても、次の物品については本人確認は免除されませんので注意が必要です。
古物営業法施行規則16条2項
- 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
- 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
- 光学的方法により音又は影像を記録した物
- 書籍
上記の物品については、市場で頻繁に取引きされており特に犯罪につながりやすいため、取引価格が1万円未満だとしても本人確認は免除されません。
専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物とは、テレビゲーム、パソコンゲームなどのゲームソフトのことで、カートリッジ、CD、DVDなどの形式は問いません。
光学的方法により音又は影像を記録した物
光学的方法により音又は影像を記録した物とは、音楽や映画、テレビ番組等が記録されたCD、DVD、レーザーディスク、ブルーレイディスク等のことです。
「対価の総額」という点に注意!
古物取引は常に1品ずつ行うとは限りません。数種類の物品を一度に複数取引するケースもあります。
相手の確認が免除されるのは、「対価の総額」が1万円未満の場合であって、1品の買取価格が1万円未満という意味ではないのでお間違いのないようにしてください。
例えば、絵画1枚8,000円で買い取る場合は相手の確認は不要ですが、絵画2枚(7,000円+8,000円)総額15,000円で買い取る場合は相手の確認が必要になるということです。
犯罪収益移転防止法に注意!
古物の売買には、古物営業法の他に犯罪収益移転防止法という別の法律も関わってくることがあります。
犯罪収益移転防止法によると、たとえ売却時であっても200万円を超える宝石・貴金属等の現金取引の場合は本人の確認義務が発生しますので注意が必要です。
まとめ
いかがでしょうか?
大規模に古物営業をしない方の中には、本人確認をまったくしなくても問題無い方もいらっしゃるかもしれません。
1万円未満の取引では本人確認が免除されているからといって、「本人確認をしてはいけない」というわけではありません。
自主的に本人確認をすることを禁止しているわけではないので、防犯意識の高い古物商の方は、常に本人確認をされても問題はありません。
いざというときに、重要な手掛かりとなるかもしれません。
最後に、本人確認の義務について表でまとめておきます。
取引の形態 | 売却の場合 | 買取りの場合 |
---|---|---|
対価の総額が 1万円以上 |
確認義務なし (200万を超える現金取引の場合は義務あり) |
すべての古物について本人確認が必要 |
対価の総額が 1万円未満 |
確認義務なし | ゲームソフト、バイク、原付、書籍、CD、DVD等の場合には本人確認義務がある |
参考にしてみてください。
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