先日、古物商許可の申請で警察の窓口へ行ったときのことなのですが、古物商についておもしろい発見がありましたので、ぜひ皆さんと共有したいと思い、記事にすることにいたしました。
(すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが・・・)
おもしろい発見とは、通常、古物商許可を受けると「古物商許可証」という許可証が交付されるのですが、ある条件を満たすと、「美術品商許可証」という許可証に変わるというものです。
なぜなのかは分からないのですが、これは美術品商だけの話で、例えば自動車商許可証や道具商許可証というものは存在しません。
では一体どのような条件を満たすと「美術品商許可証」が交付されるのでしょうか?
今回は、激レア許可証の「美術品商許可証」について紹介していきたいと思います。
まずは古物営業法をおさらいしよう!
より理解を深めていただくため、まずは古物営業法について少しおさらいをしてみましょう。
おさらい① 古物の品目
古物商が取り扱う商品は、13種類に区分されています。例えば、漫画は「書籍類」、鞄は「皮革・ゴム製品類」、古着は「衣類」に分類されます。
古物商許可を受けようとする場合、許可申請の際にあらかじめ「主に取り扱う品目(1種類のみ)」と、「そのほかに取り扱う品目(複数可)」を指定する必要があります。
世の中には様々な古物が存在しており、数えきれない古物が日々取引されていることだと思います。 古物に該当するものはたくさんありますが、古物商許可申請において古物は13種類に区分されており、古物商または古物市場主は、その取り …
古物商許可の申請書を確認しよう!
取り扱う品目に〇を付けて提出することになります。
おさらい② 標識の表示義務
古物商は、このとき指定した「主に取り扱う品目」について、許可後に「〇〇商」という標識を作成して表示しなければなりません。
例えば、主に漫画を取り扱う場合は「書籍商」という標識を表示することになります。
商売をする者にとって、その取引相手が一体何者であるかということは大きな関心事ではないでしょうか。 とりわけ、古物営業においては許可制度が採用されているため、取引相手が適法に許可を取得しているかどうかをあらかじめ確認するこ …
おさらい③ 古物商許可証
古物商が許可を受けると許可証が交付されるのですが、今回取り上げている「美術品商許可証」以外のものはすべて「古物商許可証」と表記されています。
公安委員会は、許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。
こちらが古物商許可証
美術品商が一定の条件を満たすと、この許可証の表記が「美術品商許可証」に変わるというわけです。
ここからが本題!どのような場合に「美術品商許可証」が交付されるのか?
ここから本題に戻ります。
では一体どのような場合に「美術品商許可証」という許可証が交付されるのか?
それには、次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。
- 美術品商であること
- 美術品類のみを取り扱う古物商であること
① 美術品商であること
これはもう説明不要かもしれませんが、美術品商という表記となりますので、そもそも美術品商である必要があります。
これは言い換えると、主に美術品類を取り扱う古物商ということです。
② 美術品類のみを取り扱う古物商であること
美術品類のみを取り扱うということは、そのほかに取り扱う品目がない(美術品類のみ)ということを意味します。
結論!美術品類専門の古物商が「美術品商許可証」をゲットできる!
以上のことから、美術品類のみを扱う美術品類専門の古物商だけが、特別な表記の許可証をゲットできるということになります。
他の古物商と地位に変わりはない点に注意!
なぜか美術品商だけ特別な許可証が存在しているわけですが、法的な地位は他の古物商と全く同じです。
ただ単に許可証の表記が異なっているだけということで、なにか特別な恩恵があるというわけではありませんので誤解のないようにしてください。
ちゃ~んと法的根拠があった!?
この話を聞いたとき、古い慣習が残っているだけかと思ったのですが、窓口の方に調べてもらったところ、ちゃんと法的な根拠があることが分かりました。
古物営業法施行規則 別記様式第2号(第3条関係)
これは、古物商許可証のサイズや記載事項を定めているものです。
備考欄に【美術品類を取り扱う者の許可証については、「古物商許可証」とあるのは、「美術品商許可証」とする。】と記載されています。
まとめ
いかがでしょうか?
なぜ美術品商だけ特別な表記があるのかは全くの謎です。
警察署の担当者によると、愛知県では1年で2~3件あるかどうかということでした。同時に、美術品類しか取り扱うことができない古物商となるため、あまりおすすめはしていないとのことでした。
個人的な推測になるのですが、現在の古物商のなかで美術商が最も歴史や伝統があるのではないかと思います。(昔から茶器や絵画などを扱う商品がいたはず。)
そういった意味で、美術商には格別に「他の古物商と一緒にされたくない!」といった商人のプライドのようなものがあっって、業界団体みたいなものが圧力をかけて美術商だけ別枠にさせたのではないか?と考えています。
実務上は、特別なこだわりがない限り、将来的に取り扱うと考えられる品目を事前に計画して申請しますから、おのずと複数の品目を選択することになります。例えば、自動車商はネジなどの汎用部品を取り扱う可能性があるため「道具類」を含めたりします。
もし、現時点で美術品類しか取り扱う予定がないという方は、思い切って美術品類のみ選択して「美術品商許可証」をゲットしてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、警察の窓口の方が、「美術品商許可証でないと参加できない市場があるとかないとか?」みたいは話をされていました。(どこまで本当かは分かりません・・・)
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