古物営業を行うためには公安委員会の許可が必要となりますが、直接、公安委員会に持ち込むのではなく、警察署を経由して申請することになっています。
では、どこの警察署に申請すればよいのでしょうか?最寄りの警察署でよいのか?それとも、特定の警察署でなくてはならないのか?
おそらく、あいまいな方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、古物商許可の申請先について確認していきたいと思います。
どの公安委員会に申請するのか?
前述の通り、古物商許可は警察署を経由して公安委員会へ申請することになります。
ではまず最初に、どの公安委員会に申請するのかを確認しましょう。
次の条文をご覧ください。
古物営業法3条(要約)
- 古物商または古物市場主の営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。
条文から読み取るのが難しいのですが、古物商または古物市場主のどちらも主たる営業所が所在する都道府県の公安委員会に申請が必要であるということです。
例えば、個人申請の場合は自宅を営業所とすることが多いのですが、この場合は住所地の都道府県公安委員会に申請することになります。
なお、法人の場合で本社が古物営業を行っていないのであればその都道府県の公安委員会の許可は必要ありません。古物商の営業所が存在する都道府県を基準に考えるということです。
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複数の都道府県にまたがって営業所や古物市場が存在する場合はどうする?(※令和2年4月1日改正)
これまで営業所や古物市場が都道府県にまたがって複数存在する場合には、各都道府県の公安委員会ごとに許可を受ける必要がありました。極端な例をあげると、47都道府県に営業所がある場合は47件の許可が必要でした。
しかし、古物営業法の改正により令和2年4月1日から主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会の許可を受ければ、他の都道府県に営業所や古物市場を設ける場合「変更届出」を事前に行えばよいことになりました。極端な例をあげると、47都道府県に営業所がある場合は1件の許可と複数の届出でOKということになります。
具体例をあげると、愛知県内に古物営業を行う店舗があり、岐阜県内に新たに古物営業を行う店舗を設置するとします。このとき、まず愛知県公安委員会から古物商許可を受ける必要があります。そのうえで、愛知県公安委員会に対して店舗新設の届出をすれば岐阜県に店舗を新設することができます。
岐阜県内に営業所を新設する場合であっても愛知県の公安委員会に届出をしなければならないことに注意が必要です。
同一都道府県に複数の営業所や古物市場が存在する場合はどうなる?
例えば、愛知県に古物営業を行う店舗が10店舗あった場合、1店舗ごとの許可が必要になるというわけではなく、愛知県公安委員会から1つの許可を受ければ足ります。
もちろん、営業所を新設する場合には愛知県公安委員会に対して事前の変更届出が必要になります。
どの警察署を経由して申請するのか?
ここまでの内容から、どこの公安委員会が申請先になるのかはご理解いただけたと思います。
では次に、どの警察署を経由して申請をするのかについて確認していきましょう。
古物営業法施工規則1条2項(要約)
- 都道府県公安委員会に許可申請書を提出する場合においては、主たる営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長を経由して、1通の許可申請書を提出しなければならない。
つまり、古物営業を行う主たる営業所または古物市場の所在地の所轄警察署を経由して、公安委員会に申請することになります。
例えば、北名古屋市で古物営業を行う場合には、西枇杷島警察署を経由して愛知県公安委員会に申請することになります。
また、同一の都道府県に2つ以上の営業所または古物市場を持っている場合には、それらのうち主たる営業所または古物市場の所在地を管轄する警察署を経由することになります。
古物商許可の申請先はここでチェックできます。(愛知、岐阜、三重)
どの営業所を主たる営業所にすればよいのか?
どの営業所を主たる営業所とするかについて法令の定めはありません。したがってあなたの古物営業に応じて決めていただくことになります。
一般的に考えて、本店とか手続きがしやすい最も便宜的な営業所を主たる営業所としていただくのがよいかと思います。
もちろん、1つの営業所しか持たない古物商や古物市場主はその営業所が主たる営業所という扱いになります。
届出も警察署を経由する!
前述のとおり、古物の営業所や古物市場主を新設する場合は主たる営業所または古物市場の所在地を管轄する公安委員会に届出をすることになるのですが、この届出についても営業所または古物市場の所在地を管轄する所轄警察署を経由することになります。
また、この届出は変更の日から3日前までにしなければならないことになっています。ちなみに、3日前とは中3日を設けるという意味になります。
古物営業法7条1項(要約)
- 古物商又は古物市場主は、あらかじめ、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
古物営業法施工規則5条3項(要約)
- 公安委員会に届出書を提出する場合においては、その営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長を経由して、当該変更の日から3日前までに、1通の届出書を提出しなければならない。
まとめ
いかがでしょうか?
法律の改正によって複数の営業所等をもつ事業者にとってはかなり手続きが簡易的になったのではないかと思います。
念のため確認しておきますが、
- 新規の許可申請 → 主たる営業所等を管轄する警察署に許可申請
- 営業所等の新設 → 主たる営業所等を管轄する警察署に届出(新設から3日前までに)
基本的には、古物営業を行う主たる拠点を基準に考えていただければOKです。
判断に迷ったら、専門家に問い合わせてみるのもよいかもしれません。
参考にしてみてください。
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