古物営業法には、古物商または古物市場主の相手確認義務が明文で規定されており、盗品の古物市場への流入を防止するために非常に重要な義務とされています。
古物商と古物市場主の相手確認義務についてはこちらで確認できます。
一方で、古物競りあっせん業者においては、相手確認はあくまで努力義務とされています。
今回は、古物競りあっせん業者の相手確認について解説します。
相手確認の努力義務
復習になりますが、古物競りあっせん業者とは古物営業の1つで、いわゆるネットオークションを運営する古物営業のことです。3号営業とも呼ばれています。
古物営業の種類についてはこちらをご覧ください。
古物競りあっせん業者は、古物を売却しようとする者から出品を受け付けようとするときは、その者の真偽を確認するよう努めなければならないとされています。
古物営業法21条の2
- 古物競りあっせん業者は、古物の売却をしようとする者からのあっせんの申込みを受けようとするときは、その相手方の真偽を確認するための措置をとるよう努めなければならない。
これは、インターネット上の取引の匿名性をなくし、窃盗犯などによる盗品の売却を困難にするという狙いがあります。
出品者の確認のタイミングとしては、出品を受け付ける前に実施する必要があります。
したがって、もし、古物競りあっせん業者が出品の申込みを受けた後すぐに出品を認める場合、本人確認のための措置を即時に行わなければなりません。
なお、努力義務を果たさなくても違反行為にはなりませんので、罰則規定もありません。
確認の方法
たとえば、相手の確認方法として以下のような方法があります。
- 住所、氏名、年齢、職業を確認する
- 口座振替による認証
- クレジットカード認証(カード番号と有効期限の確認)
- 古物あっせん業者が落札者から代金を預かり、出品者名義の預貯金口座に振り込むことを約する
- 2回目以降の取引をする出品者にIDとパスワードを入力させる
上記の措置をとれば、努力義務を果たしていると考えられます。
まとめ
いかがでしょうか?
実際のネットオークションでは、個人情報を登録した会員でないと出品できないようになっており、会員ページにログインするためにIDやパスワードの入力が求められていますので、きちんと努力義務を果たしているといえるでしょう。
努力義務とは「やらなくてもよい」ということではありません。
古物競りあっせん業者は、ネットオークションの運営者として、たとえ法令上の義務でなくても、自発的に利用者が安心して取引ができるような体制を整える必要があるのではないでしょうか。