古物商の疑問をここで解決!古物商の管理者って何をする人なの?

例えば、複数の都道府県に営業所を持つ個人や法人は1つの許可さえあれば、届出をするだけで全国の営業所において古物営業が可能になります。

しかし、実際に古物を取引する営業所や古物市場において、まったく知識のない者が古物営業をすることは、盗品の流通を見過ごしてしまう可能性もあり、防犯という古物営業法の趣旨に反してしまいます。

したがって、古物営業(1号営業および2号営業)を行うためには、各営業所または古物市場ごとに管理者を1人選任しなくてはならないことになっています。


管理者とは、簡単に言うと古物営業を適正に実施するための責任者のことです。

今回は、この管理者についてさらに深く掘り下げてみたいと思います。

管理者選任の義務

管理者の選任は古物営業法によって定められており、法律上の義務となっています。

古物営業法13条1項(管理者)

  • 古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、当該営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。



つまり、管理者を選任できない場合は、許可を受けることはできないことになります。

管理者の欠格事由

たとえ管理者の候補がいたとしても、その候補者が次のいずれかに該当する者は管理者となることはできません。

古物営業法13条2項(要約)

  1. 未成年者
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 禁錮以上の刑に処せられ、又は無許可営業、名義貸し、窃盗、背任、遺失物等横領、盗品譲受け等の罪を犯して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
  4. 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 暴力団以外の犯罪組織の構成員で強いぐ犯性が認めれれる者
  6. 暴力団員による不当な行為等に関する法律により公安委員会から命令又は指示を受けてから3年を経過しないもの
  7. 住居の定まらない者
  8. 古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
  9. 許可を取り消された者等



管理者の欠格事由は古物商の欠格事由とほぼ同じとなっていますので、ここでは詳しい解説は省略します。

古物営業に関する知識、技術、経験を得させる努力義務

古物商または古物市場主は、管理者に対して、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要とされる一定の知識、技術または経験を得させるよう努めなければならないとされています。

古物営業法13条3項

  • 古物商又は古物市場主は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない。



厳密に言うと、あくまで努力義務となっていますので、絶対やらなくてはいけないというわけではありません。

しかし、適正に古物営業を行うために、せめて責任者である管理者には最低限度の知識等を身に付けさせる必要があるでしょう。

国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験

古物の中でも取引価格が大きく、犯罪につながりやすい自動車、バイク、原付については、古物営業法施行規則によって、古物商や古物市場主が管理者に身に付けさせるよう努めなければならない知識、技術または経験が次のように定められています。

古物営業法施行規則14条(管理者に得させる知識等)

  • 国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験は、自動車、自動二輪車又は原動機付自転車を取り扱う営業所又は古物市場の管理者については、不正品の疑いがある自動車、自動二輪車又は原動機付自転車の車体、車台番号打刻部分等における改造等の有無並びに改造等がある場合にはその態様及び程度を判定するために必要とされる知識、技術又は経験であって、当該知識、技術又は経験を必要とする古物営業の業務に3年以上従事した者が通常有し、一般社団法人又は一般財団法人その他の団体が行う講習の受講その他の方法により得ることができるものとする。



自動車やバイクについての業務経験がない場合は、講習を受けることによってその知識を担保できるような仕組みとなっているようです。

管理者の解任勧告

公安委員会は、管理者が不適当であると認められる場合には、管理者を解任する勧告をすることができます。

古物営業法13条4項

  • 公安委員会は、管理者がその職務に関し法令の規定に違反した場合において、その情状により管理者として不適当であると認めたときは、古物商又は古物市場主に対し、当該管理者の解任を勧告することができる。



許可を受けるためだけにとりあえず選任するようなことはせず、きちんと古物営業を任せられる人を選任する必要があるでしょう。

まとめ

いかがでしょうか?

肩書だけの管理者では不十分であることがお分かりいただけたでしょうか?

最後に補足ですが、管理者は古物商または古物市場主が自ら兼務することもできます。ただし、複数の営業所や古物市場の管理者を1人で兼務することはできませんので注意が必要です。

また、管理者は営業所または古物市場に常勤の者でなくてはなりません。古物営業の責任者ですから当然かもしれません。

参考にしてみてください。